

Painting from interstitial, mixed media on paper, acrylic, silkscreen, ink, pen / 10.8 m × 1 m (35.4 ft × 3.3 ft)
Process is very important in describing my practice. I began my artistic career as a painter, so making films as a painter is how I identify as an artist. Influenced by Alain Resnais’s film Van Gogh (1948), I started to focus on the aesthetics of texture of the painting through film. I studied contemporary art at Goldsmiths, University of London, and since then I have been exploring the intersection between moving image and painting in a contemporary art and experimental film context.
Stop-motion animated paintings originally painted on large canvases is the main feature of my filmmaking style. Interstitial (2017), which won the Grand Jury Prize for Animated Short Film at the 22nd Slamdance Film Festival is a stop-motion painted animated film originally painted on a 10.8m by 1m wide paper canvas. I create paintings in which time has a linear progression, and inherently creates animation within these materials. The movement of time in the moving image is substituted in the painting by the physical movement of the viewer’s body, and at the same time, all time within the moving image is stored within a single space inside the painting.
The audience of my film can see that the space in the film actually exists in the real paintings. The texture of the painting in the film implies the painter behind the camera. Painting as an action contains violence. The traces of movement still remain when painting violently or rapidly. The past scars that remain on the canvas are covered by new paint, and then hidden, forgot, or suffocated under layers and layers of paint. The paint dries up, and it is painted over again. The layers of paints represent a texture of time. The texture and brush strokes represent the painter beyond the story. There is a metafictional relation between story and process.
僕は画家として作家活動を始めました。今は映画制作をメインにしていますが、画家として映画を作っている、という立場を自覚して僕なりの表現方法を模索しています。アニメーションは中学生の頃にヤン・シュヴァンクマイエル監督とデヴィット・リンチ監督のアニメーション映像を見て、いてもたってもいられなくなり独学で人形アニメーションやドローイングアニメーションを作り始めました。"Day of Judgement (2007)" という作品は中学二年生の頃に家にあったデジカメで作った初めての映像作品です。その後、ロンドン大学ゴールドスミスで現代美術を勉強しました。大学で実験映像に出会い、大学時代の数年間はビデオカメラやフィルムを使って実験映像を作っていました。その中でアラン・レネ監督の『ヴァン・ゴッホ(1948)』に出会い、フィルムを通して見る絵画の質感の美学に影響を受け、映像と絵画の中間領域に眠る表現の可能性に気づき、本格的に映像と絵画の中間点を模索し始めました。
巨大なキャンバスにストップモーション撮影で映像を制作しながら同時に絵画として成立させるという方法が僕の代表的な手法であり一番スリリングで刺激的な作業です。第22回スラムダンス映画祭でアニメーション部門の最優秀賞を受賞した "Interstitial (2017)" という映像作品は 横 10.8m、縦 1m の絵画から成り立っています。絵画と映像の中間で流れる異なる時間性に着目し、横軸で時間が進行する絵画作品を制作、その素材を基にアニメーションを制作しました。映像における時間軸の移動は絵画においては観客の身体の物理的移動に代替され、同時に映像内の全ての時間は絵画内の一つの空間に留まる。この作品以降、絵画が持つ時間が静止するということの意味を考えています。
大学時代、僕が実験映像を本格的に始めた理由の一つに、現代美術における絵画の変遷を勉強する中で、何を描けばいいのかわからなくなってしまった、ということがあります。世界はアーティストの題材として存在しているのでなく、題材として他者や物事と向き合うことは僕には出来ないと思いました。また説明を前提に作られる作品にも違和感がありました。大学時代の品評会ではイギリス人の学生たちは作品と呼べない代物を作品と呼ぶことに躊躇することがなく、言葉を駆使して説明していました。作家とはある意味では詐欺師のようなものなのかもしれませんが、僕はそのような言葉のゲームの無意味さに疲れてしまいました。その思いは未だにあり、僕が物語を作ることにこだわっているのは、僕自身や僕の言葉が存在しない場所で僕の作品を見てくれる人を放ったらかしにせず、物語の中の世界を視覚的に説明して、物語という順路を作って奥へ奥へと連れて行く、最後に作者の結論としての終わり方を提示することが出来るからです。このような一貫性や真面目さが不自由だと思う人もいるでしょうが、僕には合っています。僕が好きな物語を作ることと絵を描くことをどちらも両立させる方法の模索の中で今の手法に辿り着きました。
中学時代、縁がありメキシコに旅行する機会がありました。その際にホセ・クレメンテ・オロスコの『カタルシス』という巨大な壁画に出会い、その衝撃に打ちのめされ、その場から動くことができなくなりました。10年ぶりにメキシコを再訪し、その壁画の前に立って、10年前の感動を思い出し、同時にこの作品ができてから数十年の間に同じ場所で立ちすくんだ人々と一つの時間と空間を共有しているような感動がありました。このような感動は絵画が静止したままで在り続け、平面で一方向からしか見ることができず、そしてその作品はこの世界に一つしかない、という絵画のシンプルさが作り出す特有のものに感じます。このモノで溢れた時代に絵画に興味を持ったことがない人がそのような感動を絵画に見いだすことは難しいと思います。僕が映像と絵画を同時に作るもう一つの理由は、その二つのメディアの異なる時間性を強調させることで、静止画の持つ強さを知ってほしいからです。
僕はまだまだこれからですが、いつか誰かが僕の作品から時間の層を超えて過去や未来の誰かと時空を共有する宇宙を発見するような感動を作り出せる作家になりたいです。
The audience of my film can see that the space in the film actually exists in the real paintings. The texture of the painting in the film implies the painter behind the camera. Painting as an action contains violence. The traces of movement still remain when painting violently or rapidly. The past scars that remain on the canvas are covered by new paint, and then hidden, forgot, or suffocated under layers and layers of paint. The paint dries up, and it is painted over again. The layers of paints represent a texture of time. The texture and brush strokes represent the painter beyond the story. There is a metafictional relation between story and process.
僕は画家として作家活動を始めました。今は映画制作をメインにしていますが、画家として映画を作っている、という立場を自覚して僕なりの表現方法を模索しています。アニメーションは中学生の頃にヤン・シュヴァンクマイエル監督とデヴィット・リンチ監督のアニメーション映像を見て、いてもたってもいられなくなり独学で人形アニメーションやドローイングアニメーションを作り始めました。"Day of Judgement (2007)" という作品は中学二年生の頃に家にあったデジカメで作った初めての映像作品です。その後、ロンドン大学ゴールドスミスで現代美術を勉強しました。大学で実験映像に出会い、大学時代の数年間はビデオカメラやフィルムを使って実験映像を作っていました。その中でアラン・レネ監督の『ヴァン・ゴッホ(1948)』に出会い、フィルムを通して見る絵画の質感の美学に影響を受け、映像と絵画の中間領域に眠る表現の可能性に気づき、本格的に映像と絵画の中間点を模索し始めました。
巨大なキャンバスにストップモーション撮影で映像を制作しながら同時に絵画として成立させるという方法が僕の代表的な手法であり一番スリリングで刺激的な作業です。第22回スラムダンス映画祭でアニメーション部門の最優秀賞を受賞した "Interstitial (2017)" という映像作品は 横 10.8m、縦 1m の絵画から成り立っています。絵画と映像の中間で流れる異なる時間性に着目し、横軸で時間が進行する絵画作品を制作、その素材を基にアニメーションを制作しました。映像における時間軸の移動は絵画においては観客の身体の物理的移動に代替され、同時に映像内の全ての時間は絵画内の一つの空間に留まる。この作品以降、絵画が持つ時間が静止するということの意味を考えています。
大学時代、僕が実験映像を本格的に始めた理由の一つに、現代美術における絵画の変遷を勉強する中で、何を描けばいいのかわからなくなってしまった、ということがあります。世界はアーティストの題材として存在しているのでなく、題材として他者や物事と向き合うことは僕には出来ないと思いました。また説明を前提に作られる作品にも違和感がありました。大学時代の品評会ではイギリス人の学生たちは作品と呼べない代物を作品と呼ぶことに躊躇することがなく、言葉を駆使して説明していました。作家とはある意味では詐欺師のようなものなのかもしれませんが、僕はそのような言葉のゲームの無意味さに疲れてしまいました。その思いは未だにあり、僕が物語を作ることにこだわっているのは、僕自身や僕の言葉が存在しない場所で僕の作品を見てくれる人を放ったらかしにせず、物語の中の世界を視覚的に説明して、物語という順路を作って奥へ奥へと連れて行く、最後に作者の結論としての終わり方を提示することが出来るからです。このような一貫性や真面目さが不自由だと思う人もいるでしょうが、僕には合っています。僕が好きな物語を作ることと絵を描くことをどちらも両立させる方法の模索の中で今の手法に辿り着きました。
中学時代、縁がありメキシコに旅行する機会がありました。その際にホセ・クレメンテ・オロスコの『カタルシス』という巨大な壁画に出会い、その衝撃に打ちのめされ、その場から動くことができなくなりました。10年ぶりにメキシコを再訪し、その壁画の前に立って、10年前の感動を思い出し、同時にこの作品ができてから数十年の間に同じ場所で立ちすくんだ人々と一つの時間と空間を共有しているような感動がありました。このような感動は絵画が静止したままで在り続け、平面で一方向からしか見ることができず、そしてその作品はこの世界に一つしかない、という絵画のシンプルさが作り出す特有のものに感じます。このモノで溢れた時代に絵画に興味を持ったことがない人がそのような感動を絵画に見いだすことは難しいと思います。僕が映像と絵画を同時に作るもう一つの理由は、その二つのメディアの異なる時間性を強調させることで、静止画の持つ強さを知ってほしいからです。
僕はまだまだこれからですが、いつか誰かが僕の作品から時間の層を超えて過去や未来の誰かと時空を共有する宇宙を発見するような感動を作り出せる作家になりたいです。
2020. 08.01

Painting from interstitial, 10.8 m × 1 m (35.4 ft × 3.3 ft)

Painting from interstitial, 10.8 m × 1 m (35.4 ft × 3.3 ft)
Stop-motion painting for interstitial, shot 138 from 983
Stop-motion painting for interstitial, shot 293 from 983

Stop-motion painting for interstitial, shot 421 from 983
Stop-motion painting for interstitial, shot 541 from 983
Stop-motion painting for interstitial, shot 939 from 983